まず来たのは千歌。だが千歌はいつもと様子が違う。ダイヤの練習着を着ている。
千歌「おっはよー……ございます、ですわ」
ダイヤのマネをする千歌。そんな千歌に曜が挨拶をしてきた。
曜「Oh、ダイヤ、シャイニー!」
曜は鞠莉の練習着を着て、やはり鞠莉のマネをしている。
千歌「あら、鞠莉さん」
千歌・曜「そして、ルビィ!」
千歌と曜は一斉に梨子のほうを向いた。その梨子はルビィの練習着を着て、さらに髪型をツインテールにしている。梨子はスカートを手で押さえながら顔を赤らめて叫んだ。
梨子「無理よ! こんなパンツが見えそうな短いスカート!」
千歌「いけませんわ、ルビィ。ちゃんとルビィになりきってもらわないと」
曜「イエース、Aqours全体に何か変化をつけるために、それぞれのキャラをチェーンジしようって、みんなで決めたことデショ?」
千歌と曜の言葉に観念した梨子は、ついに己を捨ててルビィになりきった。
梨子「ん……ピギィーーーーー!! 今日もがんばルビィ!」
千歌・曜「グー!!」
千歌と曜は親指を立てた。一方梨子は顔が紅潮しきって涙目だ。
すると今度は、ルビィが花丸の練習着を着てやってきた。髪型はいつものツインテールではなく、髪を下ろしている。ルビィは「のっぽパン」をかじりながら言った。
ルビィ「もぐもぐ……今日も練習張り切っていくずらー」
千歌「花丸さん、そんなに食べてばかりいると太りますわよ」
ルビィ「オラ食べてないと落ち着かないずらー」
花丸「ちょっとルビィちゃん、マルのマネはやめるずら!」
花丸が叫びながらやってきた。花丸は果南の練習着を着て、髪型をポニーテールにしている。そんな花丸に、曜が近寄ってきた。
曜「Oh、カナーン! ユー、果南になりきらないのはズルーイのデース」
曜は花丸の胸に頭をうずめ、両手で花丸のオッパイをさすり始めた。
曜「あ~やっぱり、果南の胸はビーッグデスネ」
花丸「……う、訴えるずら、いや、訴えるよ」
たまらず花丸は果南のセリフをマネした。
ダイヤ「フフフ、この堕天使ヨハネと契約して、あなたもわたくしのリトルデーモンに、なってみませんこと?」
その声とともに、ダイヤが堕天使の黒衣装を身にまといながら現れた。それを目にした千歌たちが口々に言った。
千歌「あら善子さん」
曜「Oh、ヨーシコー」
ルビィ「おね……善子ちゃんずらー」
梨子「善子ちゃんは思ったより善子ちゃんっぽいビィ」
花丸「黒い衣装がよく似合っているずら……似合ってるね、善子」
それらを聞いたダイヤは叫んだ。
ダイヤ「おだまらっしゃーい!! 善子言うなー!」
善子「ちょっと善子ちゃん、ヨハネはそんなんじゃないわよー」
ダイヤの背後で善子の声がした。善子は梨子の練習着を着ている。善子は梨子になりきって言う。
善子「あ、ここら辺、犬いないわよね? いないわよね!」
そんな善子を目にした梨子は、顔がひきつっていた。
果南「全速前進、おはヨーソロー!」
次に聞こえたのは果南の声。果南は髪を下ろし、曜の練習着を着て、曜のマネをした。
千歌「曜さん、遅刻ですよ」
果南「ごめんであります! くんくん、どこかから制服の匂いがする!」
果南のしぐさを見た曜は、呆然とした表情を浮かべた。
曜「わ、わたしってあんな感じなの……」
千歌「うん、ほぼ曜ちゃんだね」
最後に鞠莉が、千歌の練習着を着てやってきた。
鞠莉「みんなおはよう。さあ、今日も練習よ!」
鞠莉の言葉は、千歌のマネとはほど遠いものに聞こえた。すかさず千歌がそれに反応する。
千歌「ちょっと鞠莉さん、なんで普通に言うんです? わたしになりきってるんでしょう?」
鞠莉「だってチカっち、ユーはあまりに普通すぎてマネのしようがないから、普通に言ったのデース。普通モンスターチカチンね」
その言葉は、千歌にとってはあまりに心の闇をえぐるに十分すぎた。
千歌(わたし……そんなに普通すぎるの……マネされないぐらいに……)
ショックで立ち直れない千歌はポツリと言った。
千歌「やっぱりやめよ……キャラチェンジなんて……(涙)」
(おわり)